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渡航者体験談 / vol.07

留学の理由は「海外へ行きたいから」、語学学校の入試は日本人過去最低点、無謀な挑戦を成功に変えたもの

カッコイイ理由なんて全部アトヅケ。本音は「行ってみたいから」

正直、留学に対して僕にはあんまり立派な理由がありません。ただ日本の外の世界を、自分の目で見て確かめてみたい、つまり単純に外国で生活をしてみたいっていうだけでした。語学の勉強とか、そういうカッコイイ理由は全部アトヅケです(笑)。

中学生の時だったかな、ふと「外国ってどうなってるんだろ」、「外国に行ってみたいなぁ」って海外に興味を抱いたことがありました。けど、そのときは当然お金も時間もないし、義務教育もまっただ中。留学を実行に移すことはできませんでした。それが、大人になって社会に出て、仕事を通じていろいろな人に出会い、いろいろな話を聞くうちに再燃したんですよ。このまま海外を知らずに国内で働き続けても、僕の場合、あんまり満足のいく人生じゃないかもなぁ、って。

とはいえ中学の頃に比べてお金はあるものの、時間はますますありません。渡航するためには仕事を辞めなくちゃいけないわけで、帰国後ちゃんと就職できるのか、それは一番不安でした。でも、そんな不安ばかり考えても「満足のいく生き方」にはならないし、今を逃したらますます行けなくなる一方…。

いざとなるとなかなか決断もできず、モヤモヤしたままどうにか留学斡旋会社に飛び込んだって感じですね。そんな僕を変えたのが、そこで受けたキャリアサポートプログラムのワークショップ。それまで真剣に考えてこなかった『留学の目的』や『行動の計画』、『目標』、『帰国後の対策』などがハッキリして、一気にボルテージが上がったんです。そんなわけで、渡航日を迎える頃にはワクワクで仕方ない感じで、ただ「行きたい」だけだった留学の目的も明確になっていたわけです。

全然英語を勉強せずに行ったのがアダになり…

カナダに渡航して、最初はホームステイ。ホストファミリーの皆さんがとってもやさしい方だってことはわかる、言葉はさっぱりわかりません(汗)。それもそのはず、僕、全然英語を勉強せずに乗り込んでしまったんですよ。どうにかなるだろ、と思ってたんですが、聞こえないし話せないし、親切にしてもらっても自分の想いが少しも伝えられない…。いきなりモチベーションダウンです。語学学校の入学テストではなんと日本人過去最低点をマーク! 一番下のクラスなのに授業に全然ついていけないし、出るのは嫌な汗ばかり…。

やっていけるのか不安でしたけど、このまま帰るわけにもいかないし。シャカリキになって宿題とか予習とか復習とか頑張りました。そしたら1ヵ月半くらいしてクラスが上がり、3ヵ月くらい経つと学校でも外人の友達を作れるほどになりました。必死になってたから気がつきませんでしたけど、英語、すげー上達してたんですよ。やればできるんだなって思ったし、本当に嬉しかったですね。

友達に誘われてキューバへ旅行に行ったのはそんな頃。カナダでも日本との違いに戸惑うことがあったのですが、キューバはすごかったです。特にチップが。空港から出てすぐ、お迎えのバスの運転手さんに荷物をバスに乗せもらったら、その運転手さんに「お金ください」って言われて。彼ら、お金を入れるコップまで用意してるんですよ。チップを渡すと、みんなほんとに嬉そうな顔をしてました。たとえ1㌷(130円)くらいでもです。僕は「ありがとう」って思って渡しただけなんですけど、逆に向こうにお礼を言われて、お互いにお礼してるみたいでしたよ(笑)。これがキューバなんだぁって思いました。

それからキューバの人たちはすごく踊りが上手でしたね。それで踊ってるとき、すっごく笑っていて楽しそうなのです。なんであんなに笑えるのかなぁって思うくらい、こっちも嬉しくなるくらい笑ってましたね。日本に比べたら発展途上だし、貧しい人もたくさんいると思うんですけど、みんなすっごく楽しそうなんですよ。それを見ているうちにまた僕は日本人はやっぱり大人しいのかなって思いました。でも、違いますね。きっと、モノとか街とか目に見えるものをどんな便利に綺麗に整えても、そこに暮らす人々の内側が整ってないと、幸せじゃないのかも。結局は、自分の目で見て、感じること。幸せとかはいつも自分自身の中にあって、当たりまえの毎日の中にあるのかもしれない…。日本から遠く離れた大地で、そんなことを思いました。

“国内に居ては気づけないこと”の大切さ

もともとは単純に海外を見てみたいという想いからスタートした今回の留学。どうにかなるだろうと思っていた英語が全くダメで、ホントに言葉には苦労しました。けど、それは行ってみなければわからなかったこと。キューバで抱いた感慨も、行ってみなければわからなかったことです。

こういう当たり前のことって、日本国内に居ては気づきにくいものなんです。日本に居たら日本人は“普通”ですけど、カナダ人やキューバ人の元気いっぱいの様子と比べたら、世界的に見て“おとなしい人種”なのかもしれないって思いましたし。海外に行くと、常識がガラッと変わる。現地に慣れていないから、当たり前のことでも見逃さず目に飛び込んでくる…。人生で“満足”して生きていくためにも、こういう当たり前で気づきにくいことに気づけるようになることが、まず肝心なんだと思います。

自分だけが頼りって状況だったから、語学力だって必死になって勉強できて、とても上達しましたけど、僕はこういう“当たり前のことに気づく力”も立派な留学の成果だと思ってます。そう思うと、「海外を見てみたい」というスタンスも別に間違いではなかったのかもしれませんね(笑)。当たり前のことほど重要だったり、満足のいく人生には必要だったりします。だから、そういうことに気がつけないときは、目の前の物事を一歩下がって観察する、日本に居ながら海外に居るような感覚でいろんなものを見渡してみる…そうやって自分を見直すことにしました。そしたらすごく人生が楽しく充実させられる気がするんです。

でも…ホントこういうのって行ってみないと分からないんですよ。だから、できることなら、日本の人は全員、留学やワーホリに行ってもらいたいって、そう思いますね。きっといろんな気づきがあると思いますから。

(2009年5月 帰国後の名古屋にて)

川島正信さん
名前 川島 正信さん
渡航先 カナダ・トロント(留学)
渡航期間 2008年7月~2009年2月
渡航目的 海外に行ってみたかったから!