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海外生活サプリHOMEMESSAGE:先輩からのメッセージ>西尾市立西尾中学校教師 小島裕治先生

先輩メッセージ / Message07:西尾市立西尾中学校教師 小島裕治先生

でも、ネガティブになってやめてしまう人もいますよね。そこで諦めなかったというのは、やはり何か気持ちを支えていたものがあったからだと思うのですが。

確かに、周りはきちんと就職しているのに自分はアルバイト、ということには引け目を感じていましたね。そんなある日、父親に「周りは就職していくのに、自分だけ就職が決まらなくて焦っている」と、ちょっと相談してみたんですよ。すると父親が「自分がやりたいことは決まったんだよな? それなら焦らなくてもいいから、自分のやりたいことをやりなさい」って。その父親の一言が、すごく自分の支えになってくれたんですよね。だからこれまで自分のペースでやってこれたのは、父親のおかげかな、とも思います。

海外留学を希望する子向けにセミナーを開催していますと、早い段階で、言い訳や理由を見つけて諦めてしまう子も多いんです。そういう子たちに、何かメッセージをいただけますか?

諦めてしまう子というのは、気持ちがそれだけ弱いのではないでしょうか。どうしてもやりたいという気持ちがあれば、諦めると言うことはないはず。それじゃあその強い意志を持つためには何が大事かと言えば、目標をしっかり定めることですよね。

僕の場合、本当にできる範囲のことが限られていて、その中で教師と言うものを見つけることができたので突き進むことができました。もしかして両手があったら、できる範囲が広すぎて、夢を決められなかったかもしれません。でも目標が決まらないという人は、これをやっていたら時間を忘れられる、夢中になれるということを、いろんな経験をする中で探していけばいいと思う。僕自身、自分の半生を振り返ってみると、自分自身の努力と言うよりも、本当にいろんな人に支えられて、いろんな人に背中を押されてここまで来れたと思うんです。だからいろんな人に出会って、自分の良さや本当にやりたいことを引き出してもらうのも大事なことだと思いますよ。

小島先生は手がないことで制約を感じていたと思いますが、若い子の中にも学歴がないとか、お金がないとか、いろんな制約を自分に課してしまっている人が多いと思います。そういう制約はどうやって取り払えばいいのでしょうか?

制約があるからこそ、広すぎる視野が狭められるわけですよ。取り払おうとするのではなく、その中で、自分に何ができるか見極めることが大切なんです。前向きに考えることですね。それに学歴がないならないなりに、大学に入り直すこともできる。お金がなければ、奨学金だってある。制約がわかっているなら、それを広げる手段を見つけて動き出せばいいじゃないですか。それから、自分ひとりで考え込まずに、いろんなひとにアドバイスを聞くことも大事。そうすれば、自分の固まった制約を取り払うきっかけにもなりますし、何かしら変わった視点を持つことができると思います。

先生の今後の夢は?

やっぱり教師になったからには、担任を持ってみたいですね。教科担任、副担任として授業を行うことはあるけれど、ひとつの学級経営をするというのはまた違った仕事ですから。それは今、一番の夢ですね。

では、その夢を叶えるために、自分が成長するべき点はどこだと思いますか?

人を惹きつける話力ですね。今、一緒に働いている陸上部の先生がいるんですが、僕の中ではその先生が目標なんです。自分の思いを言葉に乗せて語ることができる先生で、本当に尊敬しています。僕はある程度、頭の中で思い描いてからでないと、言葉が出ないタイプ。それはそれで自分の話し方だし、その先生と同じようにはできないと思いますが、もう少し人を惹きつける話し方を勉強しないといけないな、と思っています。

では、最後に。先生は、自分だからこそ伝えられるメッセージがある、とおっしゃっていました。そのメッセージを教えてくださいますか?

はい。放火とか、自分の親を殺害してしまったりとか、飲酒運転で人を殺したりとか、そういうニュースを聞いていると、僕は本当に両手をムダに使っていると思う。故意ではない部分もあるかもしれないけれど、両手は自分の夢や目標を叶えるためだったり、困っている人や家族を助けてあげたり、そういうことに使ってほしい。人のため、自分のためにプラスになることに、その手を使ってほしいです。これが、僕の一番伝えたいことです。

ありがとうございました。

インタビュアー:株式会社エストレリータ代表取締役社長:鈴木信之

ライター:室井瞳子

PHOTO:堀 修平

伊澤光二 校長先生からのメッセージ

「小島先生を採用したのは、まず彼が教師としてこの学校で働くことで、優しさのある学校にすることできると考えたからです。さらに子供たちにとっては、小島先生を頑張って生きるモデルにすることができる。もちろん小島先生も生徒たちも、他の先生と同じように接しています。でも今後、子供たちが何かにつまづいたときに、きっと彼のことを思い出すんじゃないか、彼の生き方から勇気を得るんじゃないかと思ったんですよね。また教師側でも、彼が頑張っている姿をいつも目にすることで、高いモラルを持つことができると考えました。実際、小島先生は、教材研究もよくしているし、指導も丁寧だと思います。ただし彼は、まだ2年目。担任になりたいという希望も出てくると思いますが、担任は半端な仕事ではありません。今後、もっと実務経験を重ねて、学級づくり、部活動指導など、各領域の指導力を高めていくことを期待しています」