坪谷代表が経営するイングリッシュスタジオ目黒校で主任として働くウェイン先生と、幼稚園の担当のジャッキー先生に特別にインタビュー。実際に働くネイティブスピーカーの先生の生の声をどうぞ!

まず基本哲学が素晴らしいですね。この学校では、英語だけでなく、自分に自信を持ち、社会的にも個人的にも責任を持つことを教えます。この哲学のもとで学んだことは、きっと将来、子どもたちにとって役に立ってくれると信じていますよ。

私の場合、朝8時30分から、ときには夕方5時まで子ども達と一緒に過ごしますから、語学教育だけでなく、子ども達の個性を伸ばすことにおいても責任があります。子ども達には、自分達が日本人であるということを教えなくてはいけないし、同時に彼らがインターナショナルな世界にいるということも教えなくてはいけません。ですから私達の授業では、日本文化についても子ども達に教え、また外国文化の良いところについても教えています。子ども達は日本人で、私達は外国人。だからこそ、私達から学べることも多いはず。日本と世界、ふたつの側面から文化を学ぶことができるのは、子ども達の将来にとって、とても素晴らしいことだと確信しています。英語と日本語を話し、そして日本文化はもちろん外国文化にも精通する。そのうえで日本人であることに誇りを持った人間になってくれれば、本当に素敵ですね。

実際に、どのような授業を行っているのですか?

基本的にここで使うカリキュラムはLTE(Learning through English)、すなわち英語を通して学ぶことに重きを置いています。"This is a pen"の構文を教えるというものではありません。子ども達はただ受け入れるのではなく、疑問を持ち、調べ、探究しなくてはいけない。例えば「リンゴは赤い」。「じゃあなんでリンゴは赤いのか?」そう訊ねると、子どもたちは必死で考え、学ぼうとする。私達はまず子ども達に「疑問を持つ」と言うことを教えているんですよ。

私が担当する幼稚園児クラスの基本哲学は、「情熱を持つこと」や「思いやりを持つこと」「自主性を持つこと」。例えば、朝、教室に入って、ある生徒が鼻水をたらしていたり、具合が悪そうだったり、機嫌が悪かったりすると、私は子どもを抱きしめて、そしてまず話を聞きます。まずこちらから、「思いやり」の心を示すのです。そして自主性を促すために、「どうしたの?」「大丈夫?」と尋ねます。そうすると子どもたちは「友達がこんなひどいことをした」「友達の話は聞いてくれたのに、自分の話は聞いてくれない」など、説明をしてくれます。また子ども達が何かミスをしたときには、「何でこうなったと思う?」と尋ね、その問題についてじっくり話し合います。子どもたちが「こうだと思う」と答えたら、「なぜ?」とまた尋ねていきます。もし子ども達が間違った選択をしても、それが間違っているとは言いません。「もしかしたら、別の方法で考えてみるのもいいんじゃない?」。そういう風に投げかけます。

もし私と彼らの考えが違ったとしても、教師としてやるべきことは、どちらが正しく、どちらが間違っているか決めることではありません。教師の役目は彼らの素晴らしい考えを尊重し、また彼らにも他の意見を尊重するように教えることです。お互いに違う答えを持っているから、私達は前へ進めるのです。

学校の基本哲学を実現するにあたって、最も苦労する点は?

特に苦労という苦労はないですね。もちろん、日本文化は欧米文化とは異なりますから、子供たちの親が「自分の子供がここにいることで、日本社会になじみにくくなるのではないか」と心配することはあるかもしれません。でも本当はそんな心配も必要ないし、何の問題もありませんよ。

私も彼の意見に賛成です。ただ、ひとつ付け加えるのであれば、私達は子供達に、自分達以外のものになるようには決して言いません。例えば私は子ども達に「私はタンザニア出身である」ということは言いません。もちろん、私が異なる文化で育ち、私が異なった考えを持っていることは言わないし、考えを押しつけることもしません。私が教えることができるのは、彼らの周りにあるものだけです。例えば「日本ではきちんと座り、お辞儀をします」。「アメリカでは握手をします」。先ほど言ったように、子供たちは両方の文化について学びます。なので、外国人と会っても臆することなく、恥ずかしがらずに接することができます。

そうすることで、彼らは外国人に対しては外国人に合った方法で、日本人に対しては日本人に合った方法で接することができます。きっと彼らの両親は、外国人に会った時には、びっくりして対応できないでしょう。でも子ども達は「こうすればいいんだ」と学んでいるので、きちんと対応ができます。彼らは"Global Communicator"なんですよ。

そうですね。子ども達は私達と接するとき、冗談を言い合ったりしますが、日本人と会うときはとても"日本人"らしく振舞いますからね。

ただ、この幼稚園には1st yearから3rd yearまでありますが、入学したての子供達はほとんど英語がわかりませんので、私達の考えていることやクラスで何をするべきなのかを理解するのはとても難しいことのようですね。それに、ほとんどの子供が一人っ子なので、すべてを独り占めすることに慣れてしまっているんです。それでも、教室の中では他の生徒がいるので、物を一緒に使ったり、相談して物事を決めたりしなくてはいけません。例えば、「体育の時間にかけっこをやりたい子が4人いて、マラソンをやりたい子が5人いたら、皆でマラソンをする」というように、協調性を持つことを学ばないといけません。入学して初めの4カ月間は、子供達は「僕はこれがやりたい!」「これはやりたくない!」……本当に、大変です。それでも、そのうち子供達は変わっていくんです。

私は1st yearの子供を担当し、もう9年間教師をしていますが、今でも新しい子供達が入ってくるたび、彼らとうまくやっていけるという自信が持てません。だからこそ何カ月もかけて、子供達のことを知り、子供達と一緒に学んでいくのです。どんなに素晴らしい教師でも、子供達のことについて知らなければ、クラスで教えることはできません。一緒に学ぶためには子供達を理解しないといけないんです。

この学校で育った子ども達が優れている点、また、もう少しこうしたほうがいいと思う点というのはありますか?

ここの学校の子ども達は2つの文化を学んでいますよね。例えば、アメリカの学校の子ども達はアメリカ文化だけ学んでいて、他の文化については学びませんし、"Global Communicator"となるように教育されません。ですから、この学校の子ども達は大きな強みを持っていることになると思います。それからネガティブポイントをしいて挙げるとすれば、この学校で育った子どもたちは、自己主張が強いと見なされる可能性があるということですね。

生徒達の中には、最初はとてもおとなしく、ずっと下を向いているような子供もいます。でも半年後、彼らはきちんと私達の目を見て話し、自分からたくさん質問し、とても積極的になります。それは決して悪いことではありません。ただウェインが言うように、日本の文化では、必ずしもこのような積極的な態度が良いとはされていません。ですから、うちの生徒が日本の小学校に入学したとき、そこでは教師に"自己主張が強い" "扱いづらい"と思われる可能性はありますね。でも本当は、子ども達は表現力が豊かなだけで、決して"扱いづらい"わけではないんです。

今、世界はグローバル化し、だんだん小さくなっています。そして私たちはツイッターなどのツールを使い、常にコミュニケーションをとっています。そんな世界の中で、表現力が豊かであることはとても大切なことだと思います。昔、人は離れた場所にいて、それぞれが交流することはありませんでした。でも今は、私達は世界中を旅行し、世界中の人とコミュニケーションをとれるようになっています。ですから、遠慮することなく、コミュニケーションをとっていく姿勢を身につけることは素晴らしいことだと思いますよ。

最後の質問になります。将来、ここを卒業した子ども達に、どんな大人になってほしいですか?

思いやりのある、幸せな人になってほしいですね。親しみやすく、表現豊かで……でも謙虚に優しい人に。自分の意見をしっかりと述べることができるようになってほしいですが、自分の意見を理解しない人たちを自分より劣っているなどと考えるようにはなってほしくないです。彼らにとって自分の文化だけでなく、様々な文化について学ぶことができたのはとても幸運なことです。それによって彼らはより柔軟性を持ち、かつ自分に自信を持てるようになるからです。日本人の中には、私達のことを"ガイジンだ!"と怖がっている人もいます。ただそれは、彼らは英語が話せないからですね。言葉ができれば自信を持って、きちんと目を見て、お互いに話をすることができると思います。でも、もし下を向いてばかりいると……コミュニケーションはとれません。

私は、彼らに夢を持っていてほしいです。勇気が出せずに、外から「あれやりたいな」と見ているだけでなく、自信をもって夢に向かって踏み出すことができるような人間になっていてくれれば、私は嬉しいです。

私はここで9年間教師をしていますが、私の教えた子供達が小学生になり、大学を卒業し、そして今では政府関係の仕事をしているというようなメールをもらうことがあります。それは本当に素晴らしいことです。実際に私たちの教えた基本哲学が役に立っていると感じられます。そして、子ども達から「どんな人とでも、自信を持って話せるようになった」という言葉が聞ければ、こんなに幸せなことはないですね。

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